陶芸家アユミ・ホリエの魅力

「人の心の柔軟性や優しさを引き出すような作品を、生き生きと軽快に作りたい」という陶芸家アユミ・ホリエは、もの静かで、聡明、そしてユーモラスな友人。

アユミホリエ作、小鳥のカップ (写真提供 アユミホリエ)

アユミホリエ作、小鳥のカップ 2012.12(写真提供 アユミホリエ)

「カジュアルなものを目指している」という彼女の作品には 陽気な動物たちや個性的な文字が描かれていて、その魅力に取り憑かれたコレクターは多い。 年に数回ホームページのショップで作品を販売すると、わずか数時間で完売してしまうほどの人気である。コトコトで10月に販売したアユミとジョッシュの塩入れが30分ですべて売れてしまったのを見て驚いた方も多いのではないだろうか。

陶芸家アユミホリエと木工家ジョッシュボーゲルのコラボによる塩入れ2012.10

陶芸家アユミホリエと木工家ジョッシュボーゲルのコラボによる塩入れ2012.10

多くのファンを虜にしているのは、日本のアニメからも影響を受けたという、見ると思わず微笑んでしまうアユミの絵の魅力だろう。もしくは、彼女の勤勉さと思いやりがカップの取手のもちやすさや、口当たりの良さから感じられるところ。 そしてなによりも人を引きつけているのは、困っている人や社会に貢献できることがあれば惜しみなく活動する彼女の人柄であるように思う。

アユミホリエ作「勇気を出して、小鳥さん」カップ2012.12 (写真提供 アユミホリエ) 

アユミホリエ作「勇気を出して、小鳥さん」カップ2012.12 (写真提供 アユミホリエ)

実際私がキャサリンと幼なじみのアユミと知り合ったきっかけも、3人で東日本大震災の被災者支援の チャリティーオークション、ハンドメイドフォージャパンを開催したことだった。寝る間も惜しんで、被災した日本の人を助けたい一心で活動する彼女と力を合わせたオークションは大成功に終わり、八百万円を超える義援金を集めて被災地に送ることができた。

東日本大震災の被災者支援のチャリティーオークション、ハンドメイドフォージャパンのため作業をするアユミホリエ

東日本大震災の被災者支援のチャリティーオークション、ハンドメイドフォージャパンのために作業をするアユミホリエ
(写真提供 アユミホリエ)

アユミが陶芸家になった理由は興味深い。

「大学を卒業してからシアトルの新聞社で写真家として勤め始めた頃は、普段は入れない場所に入って特別な人とあえることがうれしかった。でも時間が経つにつれて、自分は生活を外から眺めることより、中に入って参加したいと思った」のがきっかけだ。

「人間は常に仕事をしているわけではなく、じつは人生の大半を眠ったり、ご飯を作って食べたりして過ごしている。台所や暮らしの中で使う器を作る陶芸家は、そんな人々の生活にユニークな関わりや影響をもつことができる。日々の生活の一部となることはとても名誉なこと」だという。

ニューヨークのスタジオで作陶中のアユミホリエ(写真提供 アユミホリエ)

ニューヨークのスタジオで作陶中のアユミホリエ
(写真提供 アユミホリエ)

作陶という仕事がいろいろな技能を必要とすることや、「粘土という媒体が自分になじんだのも魅力だった」という彼女にとって、一番難しいのは仕事と生活のバランスを取ること。「作陶は心身共に激しく関わる仕事なので作業を終えたら頭と体を解き放つことが難しい」のだ。

アユミの作品はそのほとんどが彼女のホームページのインターネットショップでしか手に入れることができない。プロモーション、ニュースレター、人気ブログなどへの告知やコンテンツもすべて彼女が一人で作成して発信している。

メイン州にあるアユミの自宅の暖炉とカップたち(写真提供 アユミホリエ)

メイン州にあるアユミの自宅の暖炉とカップたち
(写真提供 アユミホリエ)

ゆえに多くのファンはブログやフェイスブックでアユミが作陶している様子やスタジオでの出来事の写真を見ながら、年に数回のこのイベントを待ち構えている。

来週12月11日には、アユミが今夏メインに工房を移して以来初めてのセールが開催される。ぜひこの機会に彼女のウェブサイトをのぞいてみてほしい。

アユミ・ホリエ: マウント・ホリヨーク大学を卒業後、ニューヨーク州立アルフレッド大学で陶芸を学び、ワシントン大学で美術学修士を取得。インターネットとソーシャルメディアの力を効果的に使って作品を販売しながら作陶を続けていくビジネスフォーマットをアメリカで初めて成功させた陶芸家といわれる。ヘイスタックマウンテンスクールグリニッジハウスペンランドスクールピーターズバレーアローモント校ノーザンクレイ·センターなどで陶芸家のためのインターネットビジネス講習会なども行っている。アーチーブレイ財団ディレクター。

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